TKD|道のある事務所の改修

TKD-BLDG. OFFICE, Nagoya, 2018


社会を構成する最小単位

2人の共同経営者が主宰する事務所の改修プロジェクトである。2人の人間がある時間を共有する空間は、社会における最小の空間単位とも言える。1つの空間に2つのパーソナリティや欲求が求められるこの場所に、私たちは多数の選択に満ちた単位空間を生み出した。事務所自体は28㎡と小さいスペースだが、それをさらに細かく分節し、幾つもの居場所を生み出している。それぞれの居場所が個性を持ちつつ、切り離されず連関した状態を目指す。小さな居場所と全体の広さを、適切なバランスをもって構成した。

他者性の介在

既存空間の解体に伴い、多くの発見があった。上階の設備シャフトが、1Fの当該事務所内を縦横無尽に貫通している。ビル全体の水道メーターや汚水桝、その他設備配管など、定期的な検針や点検を要する部分が1階内部に存在するのだ。これは元々オーナーの自社ビルであった事に由来するが、建物全体で共有する部分を1Fの借主が請け負わなければならない。そこで私たちは、40数年という歳月の中で徐々に蓄積されたこのような[ひずみ]を、積極的に引き受けようと考えた。2人の執務空間をコアとしてフロアの中央に配置し、同時発生的に生まれた周辺の空間は、他者の介在を許容する場となる。許容できるものはできる限り維持し、環境的・歴史的・構造的側面から生じた許容しがたい[ひずみ]はコア以外の余剰空間が請け負う。共用の水道メーターや汚水枡などが残る、この余剰空間を私たちは[道]と定義し、極めて私的な領域の中にある公共性について考えた。

私性と公共性を調停する道

日本では、人々の日常的な活動の場を[道]が補完してきた。西洋における[広場]の役割を[道]が担ってきたとも言える。私たちは本プロジェクトにおいて、外部に面した余剰空間である[道]に5つの開口部を設けた。特権的な開口部は作らず、モノやコトの流出入を自然発生的に生み出す、最小限の開口部だ。緩やかに連続するこの[道]は、それぞれ一定の用途 (Kitchen, Gallery, Meeting Space, Library etc.) を持つが、この開口部を通じ、互いに別の意味を持つものへと変化する可能性をもつ。分けることと連関することを等価に扱うことで、私性と公共性を徐々に調停していくような空間を目指した。

Photo by Hiroshi Tanigawa

NI&Co. Architects

名古屋市の設計事務所です。主に東海三県を活動拠点としておりますが、全国各地に赴きます。 お客様のご要望や懸念材料を丁寧に読み解き、話し合いを重ねながらイメージを作り上げます。 納得されるまで何度もお打合せ・検討を重ね、イメージを共有しながらカタチにしていきます。 各種ご相談は無料で承っております。お電話、EMAIL、FAXにてお気軽にお問い合わせ下さい。

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